蛇足の後付に
2004/11/21 アミューズCQN



「OLD BOY」
(2003年 韓国)
監督:パク・チャヌク
原作:土屋ガロン 、嶺岸信明
出演:チェ・ミンシク 、ユ・ジテ 、カン・ヘジョン


平凡な人生を送っていた男がある日突然拉致され、小さな部屋に15年監禁される。理由も分からぬまま続いた15年もの歳月は、始まりと同じようにある日突然終わりを告げる。男は復讐を誓うとともに、監禁された理由を解き明かすため奔走する。

演技も音楽も映像もストーリーも見事に作りこまれ、高い完成度と全体の調和を持った作品。この点は評価しなくてはいけないし、これだけでも一見の価値はあるかもしれない。
そしてテーマとして、愛情とか性とかいうものと、それとは本来存在する階層の違う、所謂社会理念を一体として捕らえる現代に対して疑問と、それに対するひとつの違った方向性を描こうとしたその姿勢も、あるいは評価してもいいのかもしれない。

が、しかしインパクトがあるように見えても実際は使い古されたテーマであり、結末も驚くに値しない。むしろ蛇足である。また、全体のあらすじレベルでは完成されている様に見えるストーリーも、中身を開いてみればなんとも滑稽で危うく、胡散臭いモノであることが分かる。

別に最後の「選択」そのものが胡散臭いとか滑稽とか言っているわけではない。「それ」はそもそも利己的なモノで、倫理に縛られず「それ」を維持するという選択は、程度の差こそあれ日常的に行われていることであり、そういう意味で、この「選択」自体を否定する理由は全く無い。
注目するべきはその選択を行うまでの過程であり、動機であり、そしてその「選択」を実現しうる手法である。しかしそれらは胡散臭い方法か、描ききれていないかのどちらかである。テーマのインパクトに気圧されて気付きにくいかもしれないがこれは確かである。肝心な部分が等閑にされていて、上っ面の表面的な話になっている。

総じて言うなら、インパクトと新鮮味があるのは冒頭部のみで、後はいかに上手く2時間の話にまとめるか、それだけに注力したような作品。「テーマは後付でした」といわれてもさほど驚かないつくり。しかもその後付のテーマに対する答えと思しきものを入れるがため、最後に救いようが無い蛇足なシーンを入れてしまた大変残念な作品。

完全な駄作ではないだけに残念である。
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by nothing_but_movie | 2004-11-24 23:59 | Movie(O)
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