壮大にして空虚
a0008075_1345816.jpg2005/5/28 VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズ



「Kingdom of Heaven」(「キングダム・オブ・ヘブン」)
(2005米)


監督:リドリー・スコット
出演:オーランド・ブルーム、エヴァ・グリーン、リーアム・ニーソン、ジェレミー・アイアンズ、エドワード・ノートン



連れには序盤の乱暴な展開が至極評判が悪く、その結果作品全体の評価も大変低くされてしまったようです。確かに聖地に纏わる歴史に疎い場合には展開が暴力的なまでに早く、また説明不足で、ある意味所謂ご都合主義的な展開にも見えましたが、しかしそれは映画の出来が云々言う前にあなたが勉強不足というもので、まがりなりにも近年話題的にも関係的にもホットな二大派閥の歴史的な争いなのですからそれくらいは押さえておいてほしいところと言うのが製作側の本音ではないでしょうか。とは言ってみたものの、正直私も十字軍にも、宗教にも大して詳しく無いので、つらい部分があったのは確か。しかし予備知識など無くとも必要な情報は映画から読み取れるレベルであったり、常識的に知っている範囲だったと思うのですがどうなんでしょうか。また、予備知識があってもなくてもそれほど印象は変わらない気もします。まぁとりあえず、そう言うことで展開の荒さには目をつぶるにしても、それ以外の作品をまとまりの悪いものに見せている蛇足的なシーン、ホントにご都合主義以外なにものでもないシーン、動機が不明瞭な点はなんともいえませんが。総じて、壮大にして空虚、そんな言葉が頭をよぎります。しかし、争いの愚かさ、無意味さを説いたものであればこの印象は映画の方向性としてはそれほど反れたものではないなとも。多くの命が失われ、残るものは何も無いのが争いであれば、多くの労力、金、時間をかけてそれほど得るものが無かったのがこの作品。まぁ皮肉を言っても何にもなりませんが。


それにしても、"青の森"と"赤の砂"とでも言えば良いでしょうか、リドリーらしい映像美は大変良かったです。また、「Nothing. ...Everything!」この台詞もすばらしい。全てがここに収斂しているように思います。聖地自体に意味は無く、しかしそこには人々の喜びと、感謝と、安息、と慰め全てががそこにある。そういった信仰の本質のようなものと、この争いが争いのためのそれであり、無為なものであったという二重の意味を含蓄したものだったのでしょうか。まさに壮大にして空虚な争いを締めくくるのにふさわしい言葉かと。

洋の東西、人種を超え、また時代をも問わず今もあり続ける普遍の人間強さと弱さが宗教。多くの人の血を吸った地は今も聖地としてそこにある。信仰とは何か。争いとは何か。それを考えさせられる作品でした。




余談ですが、"Nothing"と"Everything"の間に入るとしたら"And"だと思うのですが、いたるところで"But"と書いているところが。どっちが正しいのでしょうか。まぁどうでもいいですか。
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by nothing_but_movie | 2005-05-31 13:13 | Movie(K)
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