カテゴリ:Movie(R)( 1 )
父は息子の中に沈む
2004/9/11 シャンテ・シネ



「父、帰る」
(2003露)


監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
脚本:ウラジーミル・モイセエンコ、アレクサンドル・ノヴォトツキー
出演:ウラジーミル・ガーリン、イワン・ドブロヌラヴォフ、コンスタンチン・ラヴロネンコ


その父の表面的な厳しさの底にはやはり息子たちへの愛情があるはずで、ただそのやさしさは、水面がその底を巧みに隠し、波間にかすかにしか見て取れないように、それもなかなか見えにくいわけです。

最初こそ、彼らは、父の存在の大きさや重さを感じる。しかし、そのうちそれも薄れ、次第に父親の存在は彼等の深層心理に深く沈み、解け込むことで、その厳しさや、本質的にはその優しさが、彼らの人格形成の礎となる。つまり、今後彼等は、父との休日の最後に経験したことを、その実際の成長の過程でなぞる。
そんなことを示唆したのがあの最後なのでしょうか。
 
父親の存在をそのまま映画にしたような傑作。
全編通して無駄な台詞を廃し、代わりに映像に語らせるという力はもの凄いものを感じました。

それにしても、途中で席を立つ人が目立ったような気がします。まあ、小さな箱で、かつフラットな構造のため、目についただけかもしれませんが。
さらに驚くことに、この作品を主題へと帰結させるための重要なイベントが2つほどあるのですが、その両方ともで笑いを漏らしていた方が。…まあ、ある意味この方は特殊な部類に分類される方だと思います(というか思いたいです)が、何れにしても、これらのことが示しているのはつまり、この映画で描かれた父親像が今の日本になかなか理解されないということでしょうか。
現実で受け入れられないことは仕方ないにしても、映画の中ですら異なる価値観や、生き方を認められない、あるいはその表面のみしかなぞろうとせず、理解しないことが、これらの行動の原因となっているのであれば、それは彼らが劇中前半の兄弟と一緒、あるいはそれ以前。少なくとも、表面だけでもうまく取り繕える兄よりも未熟だということは、言って差し支えないのではないでしょうか。
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by nothing_but_movie | 2004-09-15 19:13 | Movie(R)