カテゴリ:Movie(かな)( 2 )
現実として描かれた非現実
2004/11/20 UPLINK



三人三色(2004)
(2004韓国)


このシリーズは2000年から韓国 チョンジュ国際映画祭で始まり、毎年アジア圏を中心に選出した3人の映画監督に依頼して製作されている。デジタルフォーマットで撮影、編集を行うこと、30分程度の短編であること、約500万円以内で製作することがルール。4年目の今年は「インフルエンザ」、「夜迷宮」、「鏡心」で構成されており、特にテーマは与えられなかったらしいがいずれも"現実性"という主題を持っていたように感じた。


--------------------------------------------------------------

「インフルエンザ」
監督・脚本:ポン・ジュノ

街中に設置されている監視カメラが捕らえた犯罪の瞬間。これらを作品としてまとめ、私たちの犯罪に対する視点を問う作品。

監視カメラは淡々とその"犯罪"の一部始終を記録する。ただ記録する。それが監視カメラの存在の意味である。裏返せば監視カメラは犯罪を容認している。犯罪が起きることがわかっているから監視カメラを設置している。犯罪が起きたときに見ているだけで何もしない監視カメラは、犯罪に対して寛容的であるともいえる。
では人はどうか。本来であれば、"犯罪"に対して何かを感じるか、なんらかの行動を起こすべきである。しかし、普通なにも感じないし何もしない。TVを通して毎日のように犯罪を見る。たまには悲しんだり、憤ったりはするがたいていは何も感じない。そしてどう感じようと基本的に行動は起こさない。ここに監視カメラとの類似が見られる。
つまり人の中にも既に犯罪に対する"寛容性"が発生してしまっている。犯罪の追及は一部の人に任せ、自分はTVという定位に在る監視カメラを通してその犯罪を見るだけ。そしてこのいつの間にか発生していた"寛容性"は、今は考えすら及ばないレベルにいつか達してしまうかもしれない。
また、この現状の原因としては"寛容性"以外の可能性も指摘できる。つまりカメラを通じて見る"現実"を現実と認識していないという可能性だ。
いずれにしても結果として人が徐々に、犯罪に対して何も行動を起こさず、"それ"を見守るだけの"監視カメラ"に近づきつつあるということに変わりない。
鋭い視点の意欲作。



--------------------------------------------------------------

「夜迷宮」
監督・脚本・撮影・プロデューサー:ユー・リクァ

地上を大寒波が、地下での生活を余儀なくされた近未来。暗く凍えた地下で生まれる愛について描いた作品。

サイレント映画風に仕上げたこの作品はテンポが良い。黒地に白の文字で表れる字幕は映画になんともいえない魅力を与える。
得られがたいと考えているものも、実は些細な事で手に入れることができる。迫害され、住む場所もなく、唯使役される現実に生きる彼等にしてみればあまりに現実離れした"現実"に気付き喜ぶ。ここに至る展開、そしてこの表現手法そのものは非常に常套的ではあるが、それに失望することはない。なぜならそこにはこれらに対する確かな理解があったからで、唯の模倣ではなかったからだ。長編をダイジェストにしたような作りではあったが物足りなさも感じさせない。
この監督にとっての初期のステップはこの作品を持って完結する。そんなことを感じた。



--------------------------------------------------------------

「鏡心」
製作・監督・脚本・撮影: 石井 聰亙

ある女性が仕事と人生への疲れを癒すために旅に出る。そこで彼女は世界の本当の姿を見つける。

使い古されたテーマをいかに描くか。そこにこの作品の作品としての価値と意味があったと思う。が、それは満たされず、ありきたりな、TVでやるような陳腐な仕上がりになっている。
世界は自分の心理の投影であるということを彼女は旅に出て、世界を見て、気付くわけだがその理由が描ききれていない。それをありがちな表現と展開でなあなあで収めた感じがある。ありがちな、薄っぺらい作品でなんとも残念でした。



--------------------------------------------------------------

いつもより少しだけ客の多かったUPLINK。私が見た中での最高記録更新、9人。良いことです。

そういえば、帰り際、この映画館で初めて見かけた「ぴあ」の方々。いつ見ても無粋極まりないですね。そしていつもどおり無意味なアンケート。オムニバスに対して「全体を通してのストーリー」とはどういうことなのか、何を両極とした「5段階評価」なのか。質問の意図や基準がさっぱり理解できませんでしたし、もちろん聞いてる人も理解していませんでした。5段階評価については"それなりの数"をこなせば統計として"それなりの値"が得られるのでしょうが、この映画館で"それなりの数"を集めるには、"それなりの日数"を費やさなければならず、もちろんそんなことするはずもないので、ここで集められた数字はほとんど客観性を持たない、大衆向けに出すには意味のない数字だと思うのですが、実際作っている方々とを見ているこの雑誌を見る方々はどう思っているのでしょうか。
[PR]
by nothing_but_movie | 2004-11-22 23:54 | Movie(かな)
荒唐無稽。
およそ荒唐無稽としか言い様の無いストーリーと映像。
そこには観客の同意など全く無く、つまり唯無作為な伏線、いや線というよりは"点"に近い物しかなく、従って話しは独善的な展開になる。
まして、他の情報源に拠らないと伏線を全て回収できないなど論外である。

これが意図的にしろ、その能力がなせる限界にしろ、そこから生まれるのは全く理不尽な混乱であり、これはつまりストーリー性の放棄といわざるを得ない。

すると映画とは2時間そこそこかけてみる価値の無いものに成り下がってしまうわけで、つまるところ恐怖ではなくお化け屋敷で味わう動物的な"驚き"と、手品を見たあとの得も知れぬ"滑稽さ"しか残らない。つまりこれらが流行るとしたら、映画ではなくお化け屋敷と手品が流行るということか。


そんなこんなで軽めにレビュー。

■箪笥
これが"恐怖"ではなく、お化け屋敷的"驚き"を与えてくれる方。
全く脈絡の無い"登場"シーンにはホントに"驚かされます"。
開始10分でオチがわかってしまうのもどうかと…。冒頭のシーンと、靴の並び方あたりで決定打ってところでしょう。
それにしても作品中で回収不能な伏線(点)が目立ち、ダメということは無いのですが、逆に作品が薄っぺらく見えてしまったのは私だけではないでしょうね。
それにしてもやたらと混んでたこの作品。こんなのが流行ること自体が"恐怖"です。全く。


■dot the i
終盤、トントンと音を立てて話が進みますが、あれがまずいですね。
とってつけたような展開には手品的な"滑稽さ"があります。
そしてこれもまた開始10分である程度のオチがわかってしまうって言う点にも興ざめです。
まさに、長さを持たないドット的な伏線しか存在せず、それがこの作品を底の浅い仕上がりにしてしまったのでしょう。なんとも滑稽です。
[PR]
by nothing_but_movie | 2004-08-13 13:12 | Movie(かな)