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映画に見る資本主義と墓穴
a0008075_1657126.jpg2005/5/29 K's cinema



「Woderland」(「ワンダーランド」)
(2003アメリカ/カナダ)


監督:ジェームズ・コックス
脚本:ジェームズ・コックス、キャプテン・モズナー、トッド・サモヴィッツ、D・ロリストン・スコット
出演:ヴァル・キルマー、ケイト・ボスワース、リサ・クドロー、ジョシュ・ルーカス、ティム・ブレイク・ネルソン



この作品を見て思い出したのが去年やっていた「モンスター」という作品。時代背景や登場人物などの設定が良く似ています。しかし件の作品よりも明らかにこの作品の扱いはぞんざい、すなわち上映規模が格段に小さく、また本国では件の作品よりも早く公開されていたにも関わらず、日本での公開が遅い。しかし作品の何処を比較しても明らかにこの作品のほうが出来が良い。同じ去年の映画を引き合いに出すなら、「SPUN」のようにスタイリッシュでテンポの良く、それでいて時折「2046」のときのドイルを思わせる映像。その映像に見事に調和した音楽は、当時を思わせるもので統一されていて心地がいい。さらにストーリーは黒澤の「羅生門」を思わせ、見事な構成に唯ただ感心させられる。この作品のどこにこのような扱いを受ける所以があるのかさっぱり理解できませんね。


少し調べてみると、この作品のUSでの上映時期には日本でもそれなりに流行った作品が多いよう。例えば同月には「The School of Rock」、「Kill Bill: Volume One」、「Mystic River」、「House of the Dead」、「Veronica Guerin」、「Texas Chainsaw Massacre」、「Pieces of April」、「Sylvia」、「Returner」、「The Human Stain」、「In the Cut」等、さらに翌月には「The Matrix Revolutions」、「Love Actually」、「Elephant」、「Master and Commander: The Far Side of the World」、「Shattered Glass」、「Gothika」、「21 Grams」、「Bad Santa」、「The Triplets of Belleville」等。大作、良作が目立ちます。もともとこの作品の公開規模はUSでも小さいですし、このような作品に囲まれては目立たないのも頷けます。しかしその逆に件の作品はというと同月に日本でも公開されたようなめぼしい作品は「The Butterfly Effect」くらい。翌月も「The Dreamers」、「Highwaymen」、「The Passion of the Christ」、「Twisted」、「Good Bye Lenin!」等。大作や個人的には好きな作品が幾つかありますが、今ひとつぱっとしない感じです。そこへタイアップでもしているかのように同日に「Aileen: Life and Death of a Serial Killer」という作品が公開され、もともと大作が出る時期ではありませんからそんな時期にこのようなことをしたら目立つのは当たり前、さらにシャリーズ・セロンの醜態が話題になりましたから日本の配給会社も目をつけるのも頷けるというものです。映画も所詮はビジネス。金を持つものが有利なのは言うまでもありませんが、残念な現実だなと。


まぁなんにしても、中身を見ればその差は明らか。"作品の出来"でいえば比べ物になっていないというか比べるのが間違っているという気さえします。また、この作品も実話を基にしており、件の作品に負けず劣らず悲惨な話なのでいくらでも"お涙頂戴"にできたにも関わらずそうしなかったことに、"事実"に対する誠実な姿勢が見えて大変好感を覚えました。

a0008075_16435333.jpg最後にこの作品について一つだけ欠点を言っておけば、実際にはほとんど関係ないのに"ポルノ"と関連付けられてしまって作品イメージが悪く、また、劇場もそのイメージに便乗したイベントをやっていたりしてコレが客足を遠ざけているのは確かだと思いますが、より致命的なのは作品中のセンスは良いのに、一部のポスターのデザインが余りにもひどいと言うことでしょうか。コレでは誰も見る気がしないのも頷けます。まぁ何はともあれ。
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by nothing_but_movie | 2005-06-07 16:58 | Movie(W)
親子は血縁、男女は他人
a0008075_2021527.jpg2005/6/4 VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズ


「Forgotten, The」(「フォーガットン」)
(2004米)


監督:ジョセフ・ルーベン
出演:ジュリアン・ムーア、ドミニク・ウェスト、ゲイリー・シニーズ、アルフレ・ウッダード、ライナス・ローチ



こんな映画を大真面目に擁護しても仕方が無いとは思うのですが、まぁアレです。「シックスセンスを超える衝撃」の"衝撃"とはすなわち物理的な"衝撃"であり、"笑劇"でもあります。間違ってもDrasticではありません。これが分からず大真面目に見てしまえば、それはもう駄作と泣くしかないのですが、分かっていればそれなりに見れてしまうのが不思議ですね。

最初のほうはそれなりにしっかり作られていて、冒頭の俯瞰なんかは正に全編通しての伏線そのもの。まぁそのシーンと予告編の知識だけでオチが分かってしまったのが残念ではありましたが、しかし冒頭のそれでオチが分かっていたからこそ"それ系"の作品として楽しめたというのもあるでしょう。また秀逸なのは車の衝突シーン。絶妙な"タメ"が視覚的に見れ、そのお陰で実際の事故の感覚を髣髴とさせる、今までありそうでなかったよい緊張感を持ったシーンに仕上がっていたと思います。


それにしてもこの作品で出てくる"彼等"は感情的に過ぎると言うのが私の見解。それなりに秘密裏に話を進めていたにも関わらず、都合の悪い人間が出てきたりするといきなりあんな目立つ手段に訴えて出るなんてアレとしかいいようがありません。"彼等"の存在を知っているのは一部の人間に限られているようですからもし目撃者がいれば当然記憶を操作しているわけで、そんな手間をかけるならもっと穏便な手段で良いのではと思ってしまいます。そんなわけで、"彼等"にとっては非常に非合理的で不必要なこの感情的な手段は、むしろ製作現場の感情を表したものではと勘ぐっています。つまり、最初に大風呂敷を広げすぎて、「こんなのつくれるかッ。」とちゃぶ台をひっくり返しているようなそんなニュアンスが見え隠れします。向こうでそれなりの映画を作るときには確か最初にプロモーション用の短い見せ場のダイジェストみたいなのを作って、それでプロデューサーを募るみたいな感じだったと思いますから、とりあえず予告編のような思わせぶりなプロモを作ってプロデューサーを見つけて、製作を始めたものの、実はオチは良く考えていませんでしたってことで、ちゃぶ台返しでめちゃくちゃ。そんな想像が私の中で渦巻いています。シナリオも後半になるほどグダグダですし当たらずとも遠からずでは。

しかしネタ的にはなかなかタイムリーな感じがします。確か先週だと思いますが、オキシトシンが人を信用させる物質として注目を集めたと思います。オキシトシンと言えば妊娠や出産、育児など"親子の絆"を作るのに重要と目されてきたホルモンの1つで、今回の映画のテーマとも当たらずとも遠からず。しかし人間が既に物質を特定しつつあるのに"彼等"があんな物理的、直接的な動物実験みたいなことするはずもなく、そしてまた記憶を操作できるならもう少しまともな実験ができるのではとも。また、写真やアルバム、ビデオは完璧に操作するくせに壁紙は上から被せるだけというちぐはぐさ。案の定そんな実りが無く、原始的で粗だらけの実験をした"彼等"の代表である"彼"はその役務からおろされるわけですが、そのシーンは人間の世界の"クビ"もしくは"左遷"あるいは"飛ばされる"という言葉が想起させるイメージと見事に合致し、これが実際にこれ程のSFXで金をかけてビジュアル化されたのは初めてだろうなと、あらぬ方向に感心しつつ、人間も"彼等"も社会の仕組みは似たようなものなのだなと、その非情な社会の進化の普遍性に哀愁を感じたりして。

真面目な視点で一つだけ擁護しておくと、これはある意味中絶についても意見を述べた作品とも言えるかもしれません。いつからが生命であり、いつから子として認識され、絆ができるのか。それを説いたのがあの最後のシーンなのかもしれません。が、それが彼女一人しか維持できなかったとは、なんとも非情な設定です。また、じゃあ男のほうはどうして思い出せたんでしょうか。ちょうどそういったカップルが隣にいてもしやコレかと突っ込みたくなってしまいました。あ、擁護になっていませんね。


どんな視点からも後半はなかなか完璧な擁護はできず、総じて非情にレトロSFな雰囲気をたたえるこの作品は、「X-Files」よりも前に作られていたらもう少しは流行ったかもなと、そんなことを思いつつも、親と子の絆は消そうとしてもそう簡単には消せないのに、男と女のそれはいとも簡単に消え、そして記憶を維持しているほうも簡単にそれを諦め、さらにそれをいいことに、違う男を選ぶこともあるとでも言いたげな終わり方をするこの作品を、尊敬とまでは言わないまでも、良くこんなもの撮ったなと感心せずにはおれません。
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by nothing_but_movie | 2005-06-06 18:04 | Movie(F)
またまたいつものごとく。
昼間の暇さ加減にいい加減疲れたので、朝ゆっくりしていたら、キャンセルになるだろうと思っていたMTGがそうならず、呼び出しを食らう有様。週の頭からなんだかなと思いな、週末の終焉を感じつつ平日の再開です。

今週末は、

「Forgotten, The」
「Interpreter, The」
「Dead End」


インタープリターは堅実で実力派な作品で見ごたえ十分、その他2作はコミカルな仕上がりで意外と楽しめました。
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by nothing_but_movie | 2005-06-06 14:48 | 雑記
これは時代劇あるいはゾンビ映画だ
a0008075_030816.jpg2005/05/29シブヤ・シネマ・ソサエティ


「Le Convoyeur」(「ブルー・レクイエム」)
(2004フランス)


監督:ニコラ・ブークリエフ
脚本:ニコラ・ブークリエフ、エリック・ベナール
出演:アルベール・デュポンテル、ジャン・デュジャルダン、フランソワ・ベルレアン、クロード・ペロン、ジュリアン・ボワッスリエ


些細なことではありましたがいくつか作品中で始まりが描かれていないのに終わりだけ描かれているような、あるいはその逆に描かれていたごくありふれた日常的な出来事があり、なんとも気持ちの悪い描写だなとおもっていたら、壁の写真であったり、弾丸への細工だったりと、つまり彼の復讐にかける意気込みのようなものは、どこで何の役に立ったかもよくわからないにもかかわらずしっかり描かれていて、これはつまり彼の心理あるいは視野、つまり復讐のことしか考えておらず他のものは目に入らない状況を映画的に表現したものなのでしょう。

来るべき日に向けて障害と傷跡の残る体の鍛錬を欠かさず、日々寡黙に吹き溜まりのような職場に赴きその本心をひた隠し、がむしゃらに手がかりを追い、自ら死地に赴く彼の背中に"侍を見た"と言いたいところなのですが、なんといっても元はただのサラリーマン。復讐のための技術等もちろん無く、使い慣れない銃を手にする様はさながら、時代劇でありがちな親の敵に無謀にも向かっていく子供のそれ。劇中でこのちぐはぐな姿は恐らくは外装と中身がつりあっていないあの"車"に例えられているのです。

まぁしかし、クライマックスで見せる彼の執念は、時代劇の侍のそれにも見え無くもないのですが、弾をバンバンと喰らいながらも、ムクリと立ち上がり敵に向かっていく様はまさにゾンビか死霊のそれ。意外と小綺麗に死ぬ侍にはあまり見えず、間違っても普通のサラリーマンでは無いなぁと淡々と思うわけです。そしてこのゾンビあるいは死霊もまた、今ではほとんど見られない、つまりは普通なら廃車になっているであろうあの"車"に例えられているのです。


ありがちな設定、ありがちな展開、ありがちな終わりで、目新しいものは何も無いのですが、気持ちの悪い映画を見てしまったなという思いになるのがこの作品。駄作と切り捨てるにはあまりに興味深い印象を残すこの作品を、良く分からないからといって"フィルムノワール"なんて言葉でごまかしてほしくないですね。これは間違っても"フィルムノワール"などではなく、"侍のゾンビ"あるいは"ゾンビの侍"つまりは少し前の日本侍ブームと最近のホラーブームを足し、さらにそこにフランス映画のあの落ち着きと寡黙な雰囲気を併せたフランス映画の冒険的ともいえる新境地なのです。この視点を持ってみればいかにこの作品がそれらの作品に共通するプロットを持っているか、いかに冒険的であるかが見えるはずです。この作品を久しくネタ切れのハリウッドがほしがっているということも、またあの遊びの効いたエンドクレジットも"フィルムノワール"だからでは説明になりませんがこれほどの冒険をし、新しい方向性を示した映画だとみれば非常に分かりやすい話なのですよ。


そして彼は彼の象徴であるあの"車"で仇討ちの報告をしに行く、否、自分の墓場に戻っていく、否、息子のもとへと戻って行くのです。めでたしめでたし。いや面白い映画を撮ったものです。
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by nothing_but_movie | 2005-06-03 00:40 | Movie(L)
下らない事
まぁ何が悲しいかというと、昼間は暇なのに今の時間になってもやるべき仕事はそれなりにあるという矛盾。昼の時間の実働時間がほとんどないとは言え、流石にこんな時間に仕事をするのもあほらしく先ほどから読み進むべく開いた資料はほとんど進まず、また進んだとしてもほとんど頭に残らず。

で、気付けば此処も既に1年以上経過していたと。何をいまさらといったところなのですが、我ながら驚きつつ、また、よくもまぁこれ以上ない程の駄文を1年以上も人目に触れるこのような場所に書き綴ってきたものだなと呆れつつ。

なぜこのようなことを始めたか。そんなことは思い出す意味がありませんし、そもそも思い出せないでしょうから、思い出そうと無駄に時間を費やすことはしません。しかし、あえてそのことに関して、何かもっともらしいことを言うのであれば、そんな話しは誰も知りたくないし、知っても面白くはないし、知る必要も無いということで、つまりどのようなつまらない映画にも比類すべくもなく、下らない事だということです。

そんなこんなで、一年で最も映画界が賑わうであろう6月が始まったわけです。
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by nothing_but_movie | 2005-06-01 23:59 | 雑記